恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!


「よく決心したよな。」

母さんとこんな話するなんて思ったこともなかったけど…

引越の片づけしてたら、父さんの昔の形見なんかが出てきて…
しんみり眺めてたもんだから…つい言ってしまった。

「え?結婚のこと?」

しんみり眺めながら言う。

最初父さんが死んだときは毎日母さんの涙を見ない日はなかったなと思う。
小さいながらの俺の記憶だ。
ものすごく好きだったにちがいなかった。

けど…人って変わるものなのかな…って…

「ああ。父さんのこと…あんなに好きだったのによく勝おじさんと結婚しようって思ったなって…」

そしたら母さんはふふって笑った。

「あら、父さんのことを今でも愛してる。それには変わりないわよ。」

「え?」

愛してる人以外の人と結婚して…キスとか…それ以上のこととかできるもんなんだろうか?

「けれどね。勝さんのことも愛してるの。」

そう言い放つ母さんは、まぎれもなく真実を語ってて…

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