最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
イヴァンは一瞬、ナタリアの言った意味が分からず目をしばたたかせた。
そんな彼をナタリアは嬉しそうにはにかんで見つめる。
周りの者も示し合わせたように顔を見合わせ、口角を上げて目を三日月形に細めていた。
「今……、なんと?」
イヴァンが鼓動を速めながら尋ねると、ベッドの横に立ったオルロフが胸に手をあてかしこまったお辞儀をしながら答えた。
「おめでとうございます、皇帝陛下。皇后陛下は偉大なる陛下の血を継ぐ御子様を授かられました」
あまりの驚きに頭の中が真っ白になった後、イヴァンの全身に熱い血が巡るような歓喜が湧いてくる。
怪我の痛みも体の倦怠感も、すべて吹き飛んだ。思わず前のめりになりナタリアの両手を掴み返して、「本当か!?」と大声を出してしまった。
ナタリアは頬を赤く染めこのうえなく幸せそうに笑うと、小さく頷く。
イヴァンは感激に打ち震え、ナタリアを力いっぱい抱きしめようとしてハッとし、優しく抱き寄せた。