最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
「ナタリア……愛している。心から愛している。お前は俺の妻だ」
長年想い続けてきた彼女をようやくすべて手に入れられる喜びに、イヴァンは魂が震えるのを感じた。
「……イヴァン様」
小さな声で囁いて、ナタリアは恥ずかしそうに目を閉じる。
イヴァンは自分の名を呼んでくれたその愛おしい唇にキスを落とし、深く重ね、やがて止まらない情熱に背を押され甘く激しく舐っていく。
「ナタリア……」
愛しさが止められない。一秒でも早く彼女とひとつになりたいと急く情欲と、時間をかけて愛で慈しみ味わいたいという願望が混じり合って、イヴァンの熱を高めていく。
ナタリアのすべてが知りたくて、彼女の纏っている薄絹の寝間着のリボンをほどいたときだった。
閉じられていたナタリアの瞼が、ゆっくりと開いた。
瞼の奥から現れた瞳がさっきとは違い、うつろに遠くを見ていることに気づいて、イヴァンの表情が一変する。
たった今まで抱いていた情熱が一気に引き、イヴァンの顔がみるみる悲しみに歪んだ。
「……ローベルト……」
新妻の麗しい唇が、他の男の名を呼ぶ。