片恋の魔女は死ねない
「何で早く言ってくれなかったのさ?!」
「いや、無理でしょ」
「完全に忘れてたっ!」
「てか、どうしてそんなに焦ってるの?」

 先生に呼び出しくらってたのを忘れるくらいでこんなに慌てないだろう。しかも放課後もまだ始まったばっかりなのだ。

「教室で待ち合わせしてたんだよ!すぐ来ちゃうよ〜」
「どんまい」
「冷たいよぉ、亜里沙」
「だって私関係ないし」
「ね、お願い亜里沙!先輩来たら事情話しといて!」
「私、帰りたいんだけど」
「私と亜里沙の仲じゃない!」
「えー」
「よろしくっ!」

 そう言い捨てると、英梨は慌てて教室を飛び出していった。

「言い逃げはずるい……」

 私は英梨の背中を見ながら、はあと溜息を吐いた。

 何だかんだ言っても、私は英梨が好きだし、私のせいで彼氏と破局するのはいたたまれない。だから、私は大人しく教室で英梨の帰りを、もしくは彼氏の訪れを待つことにした。
< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop