片恋の魔女は死ねない
 軽く、笑える。


 そんなことを思い出して、可笑しくなってしまった私は、魔法なんて、使えるわけない。なんて面白半分で、鏡よ浮かべと念じる。
 すると、ふよふよと鏡が自分の力で浮いた。

「……だよね」

 驚きよりも、やはりと言う感情が勝る。だって、心のどこかではちゃんと自覚しているのだ。



 –––––––––––私はまぎれもない魔女であることを。



「魔女、ねぇ」

 夢に見たファンタジーが現実になって嬉しい、的な気持ちになれるほど、私は馬鹿でも天然でもない。
 魔法を使えることはまだいいが、他諸々のシステムが辛い。


 条件付きの不老不死。



 恋に狂う。
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