恋に落ちたのは だれ?
やだ。
「お前なー。ひどくないか。その言い方
相手チームの応援かよ」
「速水?
どれ、どいつ?」
笑いながら、五十嵐が亜美のカメラをのぞき込む
「かっこいいでしょー」亜美がほこらしげ
「すげえな。本格的なカメラじゃん。
お。これ、ベストショットじゃん」
「どれ?。って、それあんたじゃん」
二人は笑いあってるけど、柚季は
どうしよ。どうしよ。
亜美~っ。いや亜美は悪くない
私のために言ってくれたんだもん。
でも、絶対勘違いしたよね。
どうしよ。
「ふーん。嶋田、速水みたいなのがタイプなんだ」
五十嵐が、カメラをのぞき込んだまま言った。
「ちが」言いかけた柚季の声をかき消すように
「五十嵐―」
「何やってんだよ。集合―」
「じゃあな」
佐々木たちに呼ばれて、五十嵐が行ってしまう。
せっかく見に来たのに
かっこよくて、もっともっと好きになったのに
「あ、ごめん」
すれ違った人の肩がふれて、謝られる
こんなたくさん人がいるなかで
見つけてくれたのに