彼女との距離感
横浜支社での仕事は目まぐるしく忙しくて。

カッチャンとゆっくり話す機会がなかった。

胸の中のイヤーな感情は少しずつ大きくなっていく気がして。

もう、こうなったら奥の手だと。

文明の利器を使おうと思った。

LINEでメッセージを送る際、ふと。

カッチャンに私的なメッセージを送るのが初めてだということに気づいた。

そう自覚したら、手が震えて。

30分以上スマホの前で固まって動けなくなった。

「忘年会の後、お時間もらえませんか? 見せたいものがあります」

そーしん…と。

これで、断られたら諦めよう。

ふぅーとため息をついて。

ベッドで寝っ転がっていたら。

案外、早く返事が来た。

「了解です」

たった、それだけ。

準備は整った。

…いや、整ってないか。

これから、準備をしよう。

胸につっかえている塊を。

さっさと取り除こう。
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