彼女との距離感
飲み会は、去年と比べると落ち着いた感じだった。

知っているメンバーは半分ぐらいになってしまっただろうか。

去年はバカ騒ぎしていた空気が。

半分以下になって。

でも、何故か俺の周りにはオバチャン集団が集まって。

東京での仕事ぶりを尋ねられ。

勝手に写真を撮られそうになるのを、必死で阻止して。

2時間の居酒屋での飲み会は終了した。

2次会のカラオケにしつこく誘われたけど。

全力で断って。

カッチャンと合流して。

電車に乗った。

「相変わらず、王子はモテモテですね」

フフフと笑うカッチャンに安心する。

「久しぶりだね、カッチャンと話すの」

「そうですね…」

カッチャンは目を合わせてくれなかった。

横顔を見ると、やっぱりやつれていた。

痩せたのかな。

頬がこけている。

不安になって何か言おうとしたら。

「東京での生活はどうですか?」

と、カッチャンが尋ねてきた。

「東京ねー、大変だね」

仕事を思い出しただけで、どっと疲れが出てくる。

「東京行ってから、王子と全然会わないですよね」

「あー、俺。今、東京に住んでるんだわ」

そう言って。祐太郎のことや東京での生活を話した。

ふと、カッチャンの彼氏のことがよぎったけど。

今は、聴けないなと思った。
< 17 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop