彼女との距離感
駅に着いたら。

一気に心臓がバクバクしてきた。

誰かに告白するってこんなに緊張するものなのか。

急にカッチャンを意識したら。

顔を見られなくなった。

「ちょっと、王子! 歩くの早いです!」

「あ、ゴメン」

気づけば、カッチャンが後ろのほうに立っている。

家に着くと。

覚悟を決めなければと深呼吸をする。

「ただいま」

鍵を開けて、玄関の電気をつけた。

「お邪魔します」

カッチャンが頭を下げる。

「あ、今日。誰もいないから大丈夫」

「へ?」

カッチャンが驚いた顔をする。

「両親は絶賛旅行中だからさ」

「え?」

「まぁ、上がってよ」

カッチャンの前にスリッパを出す。

「えーと、何か作ってほしいってことですよね?」

と、カッチャンがキッチンへ向かおうとするので。

「いや、今日は上だよ」

と、俺は天井を指さした。

「上?」

「ついてきて」

カッチャンを手招きして。

階段を上がる。

女の子を自分の部屋に入れるのは、いつ以来か。

「そこらへんに座って待っててくれる?」

「はい」

カッチャンはキョロキョロと自分の部屋を物色する。

別に見られて恥ずかしいものがあるわけじゃないけど。

何だか照れ臭い。

俺は急いで隣の部屋から、アルバムを掴んで。

自分の部屋に戻った。

カッチャンは正座をしている。

「正座しなくていいよ?」

「いや、何となく…」

ベッドの前に正座するカッチャンに。

アルバムを渡した。

「え…、アルバム?」
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