彼女との距離感
おばあさんと、お姉さんときららちゃんに別れを告げて。

電車に乗って。

今度は、祐太郎が今住んでいるマンションにやって来た。

「この部屋、シンが使っていいから」

祐太郎が案内してくれた部屋には段ボールが2箱置かれただけで。

あとは、ガランとしていて何も置いてなかった。

「この部屋を使う条件として。週末に、ばあちゃんの話し相手になること。あと、姉ちゃんの絵のモデルになること。あとたまに、きららの遊び相手になること。それが俺からの条件だ」

「祐太郎が、おばあさんの話し相手になればいいんじゃないの?」

「俺!? 俺は無理だからお前にお願いしてるんだろ! どうも苦手なんだよ。ばあちゃんと話すの。ばあちゃんも俺と話すよりお前みたいな奴と話したほうが若返るだろ」

「えー」

「シンはおばあちゃんっ子だったんだろ? じゃあ、問題ないだろ」

「そうだけど…」

「あとは、俺。来年に引っ越す予定だからシンが居られるのは一年間だからな」

「あ…」

俺はあることを思い出した。

「そういえば、祐太郎。彼女は…」

言い終わるか否か。

彼女という単語を聴いて。

祐太郎は鬼のように怖い顔をした。

流石にニブい俺でも、別れたということに気づいた。

「あとな、俺に彼女が出来たら、速攻で出ていくこと! わかったか?」

「うん…」

「俺、ほぼ夕勤で平日休みだから。お前、土日休みだろ? そんな気ぃ遣わなくて済むだろ?」

ペラペラと喋る祐太郎。

俺は、一緒に暮らすことを承諾していないのだが。

もう、勝手に一緒に暮らすことが決定してしまっている。

「ま、一年間よろしくな」

祐太郎が握手を求めてきたので。

俺と祐太郎は握手をした。
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