君色に染められて
☆
彼女は驚くほどに変わった。
二か月ほど前までは、ほとんどの生徒に嫌われていたはずなのに、今じゃ生徒に囲まれている。
「機嫌悪いな、翔太」
教室の自分の席から頬杖をついて廊下を眺めていたら、友人の亮介が前の席に座った。
「……別に」
「いやいや、明らかに悪いから。何があった?」
彼女が、俺だけに見せてくれていたはずの笑顔を、簡単に見せていることが気に入らない。
だなんて、言えるか。
「ところでさ、変わったよな。神田先生」
俺の話はどうでもいいってか。
「俺、今の先生のほうが好きだな」
胸がざわついた。
あれだけ可愛い笑顔を見せていたら、誰だって好きになる。
だから、独り占めしたかったんだ。
「親しみやすくて」
安堵の溜息を零すと、亮介が声を殺して笑った。
「お前、わかりやすいなあ」
しまったと思った。
亮介の言葉にいちいち反応して、それが顔に出ていたらしい。
「翔太……本気か?あの堅物だぞ?」
「あの人のいいところは俺だけが知ってたらいいの」
そう言いながら廊下を見ると、センセと目が合った。
センセは手招きをし、俺を呼んだ。
まるで犬のように、彼女のもとに駆け寄った。
二か月ほど前までは、ほとんどの生徒に嫌われていたはずなのに、今じゃ生徒に囲まれている。
「機嫌悪いな、翔太」
教室の自分の席から頬杖をついて廊下を眺めていたら、友人の亮介が前の席に座った。
「……別に」
「いやいや、明らかに悪いから。何があった?」
彼女が、俺だけに見せてくれていたはずの笑顔を、簡単に見せていることが気に入らない。
だなんて、言えるか。
「ところでさ、変わったよな。神田先生」
俺の話はどうでもいいってか。
「俺、今の先生のほうが好きだな」
胸がざわついた。
あれだけ可愛い笑顔を見せていたら、誰だって好きになる。
だから、独り占めしたかったんだ。
「親しみやすくて」
安堵の溜息を零すと、亮介が声を殺して笑った。
「お前、わかりやすいなあ」
しまったと思った。
亮介の言葉にいちいち反応して、それが顔に出ていたらしい。
「翔太……本気か?あの堅物だぞ?」
「あの人のいいところは俺だけが知ってたらいいの」
そう言いながら廊下を見ると、センセと目が合った。
センセは手招きをし、俺を呼んだ。
まるで犬のように、彼女のもとに駆け寄った。
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