君色に染められて
プレゼントを用意する都合もあるから、一週間前に締め切ったけど……


受験生でも参加できるように勉強する時間を設けたのに、ハロウィンのときほど参加者が集まらなかった。


やはり私の企画では人が集まらないのだと、思わずため息が出てしまう。


「落ち込んでますね、神田先生」


相田先生はお茶を飲みながら言ってきた。


「……市原君の真似をしてみたのですが、前より生徒と距離が近くなったとはいえ、私はやはり嫌われているのかな、と……」
「違うと思いますよ。みんな勉強をしたくないだけかと」


つまり、私の気遣いが空回りしたわけか。


だけど、参加者の中に彼の名前があるし、よしとしよう。


「人数が少ないと嘆くわりには嬉しそうですよ」
「そ、そんなことは」


顔がにやけていたことが、自分でもわかる。
隠すために両手で口元を覆う。


市原君とのことを気付かれないよう、気を引き締めなければ。


「とにかく、参加してくれる生徒が楽しかったと言ってくれるような会にしましょう」
「はい」


相田先生が頬を赤らめていたけれど、そんなことよりも市原君に何をプレゼントするかを考えることで頭がいっぱいだった。
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