君色に染められて
シルバーのリングが付いたネックレス。


「……慣れてるのね」


流れるように、プレゼントされた。
気付かなかった。


きっと彼は、何度も私以外の誰かにプレゼントしてきたのだろう。


「……姉にどうプレゼントされたいか聞いて、姉で練習したので」


市原君は顔を真っ赤にして教えてくれた。


「本当は言いたくなかったけど、センセ勘違いしてそうだったから」


そんなにわかりやすかっただろうか。


素直に顔に出してしまっていたのだと、恥ずかしくなる。


「……ありがとう、市原君」
「どういたしまして」


プレゼント渡しに成功したことが嬉しかったのか、市原君は無邪気に笑った。


「……ちょっと待ってて」


私は食堂に戻り、プレゼント置き場から明らかに別物のプレゼントを取る。


廊下に出て、袋から中身を取り出す。
袋のまま渡しても良かったけど、市原君がしてくれたように付けてあげたいと思った。


目の前に立って、紺色のマフラーを市原君の首に巻く。


「私からの、クリスマスプレゼント」


市原君はそのマフラーで口元を隠した。


「……ありがとうございます。好きな人からのプレゼントって、こんなに嬉しいんですね」


ストレートに言葉にされると、こっちまで照れる。
< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop