『由美香へ』
『由美香へ』
そう書いたきり、私の手は止まってしまった。
今日、由美香からもらった手紙の返事。
明日、渡さなければ、もう渡せなくなるのに、何から書いていいのか、どう書いていいのか分からなくて、ただ、便箋を涙で濡らすばかりで、一向に筆が進まない。
私が由美香と出会ったのは、小学6年生の春だった。
両親の離婚で、母と共に祖父母の家に引っ越した私は、6年生の1学期から転校をすることになった。
初めての学校、誰も知らない教室、不安しかない始業式だった。
知らない人しかいない所で、たった1人で自己紹介をさせられる。
人見知りの私にとって、地獄以外の何物でもない。
「佐藤 歩実です。
よろしくお願いします」
震える声で、なんとかそれだけ言った。
その日は、先生以外、誰とも喋ることなく、帰宅した。
まぁ、朝は、母と登校し、入学式には出席せず、職員室で転校のためのいろいろな手続きをし、その後校長室から直接体育館に移動して始業式に出席したんだけど、転校の挨拶のため先生の隣に座って待たされ、始業式終了後は、担任の先生とともに教室へ行き、そこでも挨拶をさせられ、席に座ると同時に学活が始まり、そのまま下校となったんだから、仕方ない。
早速、友達ができることを期待していた母は多少がっかりしたようだったが、そんな期待する方が悪いと思う。
そう書いたきり、私の手は止まってしまった。
今日、由美香からもらった手紙の返事。
明日、渡さなければ、もう渡せなくなるのに、何から書いていいのか、どう書いていいのか分からなくて、ただ、便箋を涙で濡らすばかりで、一向に筆が進まない。
私が由美香と出会ったのは、小学6年生の春だった。
両親の離婚で、母と共に祖父母の家に引っ越した私は、6年生の1学期から転校をすることになった。
初めての学校、誰も知らない教室、不安しかない始業式だった。
知らない人しかいない所で、たった1人で自己紹介をさせられる。
人見知りの私にとって、地獄以外の何物でもない。
「佐藤 歩実です。
よろしくお願いします」
震える声で、なんとかそれだけ言った。
その日は、先生以外、誰とも喋ることなく、帰宅した。
まぁ、朝は、母と登校し、入学式には出席せず、職員室で転校のためのいろいろな手続きをし、その後校長室から直接体育館に移動して始業式に出席したんだけど、転校の挨拶のため先生の隣に座って待たされ、始業式終了後は、担任の先生とともに教室へ行き、そこでも挨拶をさせられ、席に座ると同時に学活が始まり、そのまま下校となったんだから、仕方ない。
早速、友達ができることを期待していた母は多少がっかりしたようだったが、そんな期待する方が悪いと思う。