『由美香へ』
 翌日、私が登校すると、

「歩実ちゃん、おはよう!」

と、元気よく靴箱の所で声を掛けられた。
ショートカットで背の低いかわいい女の子。

「お、おはよう」

私は、小さな声で挨拶を返す。

「私のこと、覚えてる?」

いきなりそんなことを聞かれても、クラスの子の顔も名前もまだ全然覚えてない。

「ごめん…」

困った私が目を伏せると、その子は明るい声で、

「だよねー」

と笑った。

救われた…

その時、私はそう感じた。

これで嫌われたらどうしようと不安だったから。

「私ね、歩実ちゃんの前の席なんだよ。
斎藤 由美香(さいとう ゆみか )っていうの。
よろしくね。」

由美香は私が転校して初めてできた友達だった。
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop