『由美香へ』
 それから程なく、私たちは2年生になった。
私と由美香は、また同じクラスになれた。
喜んでいた私だったけれど、1週間もしないうちに違和感を感じた。

 私じゃなくて、由美香が無視されてる?

あんなに明るい由美香が私以外の誰とも喋らない。
そういえば、1年生の終わり頃もずっと私とばかり一緒にいた。

あの頃から始まってたの?
それって、もしかして私のせい?
あの時、私を庇ったから?

 だけど、由美香は決して私にも泣き言を漏らさなかった。
私もそうだったけれど、自分が虐められているという事実を認めたくないのかもしれない。
イジメを相談するには、まず、自分が虐められていると自分で認めなくてはいけない。

私には、それができなかった。
だから、何もできず、どんどんエスカレートした。

由美香は?
由美香も?

臆病な私は、それを由美香に尋ねることもできず、ただ出来るだけ多くの時間を由美香と過ごした。

ゴールデンウィークを過ぎると、調理部の由美香は、部活にも行かなくなった。
授業が終わると、私と一緒に真っ直ぐに家に帰る。

部活でも虐められてるんだろうか。

疑問と心配は募るけれど、私には何も出来なかった。

いや、違う。
何もしなかったんだ。

私たちはほぼ2人きりで2年生を過ごした。
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop