彼氏のいない週末は~夏の忘れ物



その恩人を怒らせてしまい、私は今更ながら反省し、項垂れた

―――あ~、もう見放されちゃうのかな…

そう思ったら何だかすごく自分が情けなくて、彼からかまってもらえなくなるかもと寂しくなって、いい年をして視界が歪んできてしまった

頭の上に大きなため息が落ちてきて、私はさらに肩を落とした

肩幅に開かれたフワフワの真っ白なスリッパが、スッと私の方に近づいて、頭上に温かいものが乗せられる

それが何か理解して、私は目を見開いたまま、恐る恐る顔を上げた

無意識に瞬いて、目尻に溜まっていた涙が頬を伝うことも気にせず見上げると、滲む視界が晴れた向こうに、碧の瞳が優しくこちらを見降ろしていることにホッと気が抜けた

途端に呆れを含んだ無表情に、やっぱり申し訳なくて情けなくて思わず顔が歪んでしまう

「ほんとに、しようのない子ね」

「う~~~、ごめんなさい」

ぽろぽろと零れ落ちる涙を止められない

するとポンポンと頭を軽く叩かれた

急に恥ずかしくなって、俯いて表情を隠す

顔が赤いのは泣き顔が恥ずかしいからと、思ってくれる、よね……

だって、女装してるとはいえ、きれいな男の人に頭ポンポンって、誰だってドキドキしちゃうでしょ!?



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