彼氏のいない週末は~夏の忘れ物
「さて、じゃあ今からでもやれることをやりましょう」
ひとしきり慰めて?くれてから私を立たせると、そのままバスルームへ連れていかれる
あ、大人なことにはなりませんのであしからず!
美を追求する彼は、某有名なエステサロンで技術者の資格を持っているのです
私は彼の指示通りシャワーでメイクと汚れを落とし、湯船で温まってからバスローブを着替える
そのままベッドに寝かされてまずはフェイスケア
「一週間たったし、現地で赤くはならなかったのよね?」
「うん、日焼け止めだけは2時間おきに塗りなおしたし、保湿はしっかりしたよ」
私はもともと色も白いし、黒くなりにくい
子どもの頃は赤くヒリヒリして、皮がむけると元に戻った
思春期には当時の流行りもあって、日焼けした健康的な肌に憧れたが、街中の日サロは学生の時分には敷居が高く、きれいに焼けるにはそれなりに時間も金額もかかるときいて、諦めた
20代になってからはママに「シミだらけの老婆になりたいの!?」と脅され、最新マシンというやつで30年後の肌を見せられて、今から対策しなければコンシーラを顔全体に塗らなければならない未来に戦慄した
ただ今ある美白成分と私の肌は相性が悪いらしく、日常的にホワイトニングケアはできないことが分かり、とにかく紫外線を受けないようにしながら、週一くらいで美白ケアを取り入れるようにしている
以来、年単位でしてきた努力を水の泡にしてしまうような今回のバカンス焼けに、ママが怒るのも当然だよね……
肩までバスローブを落とし、思い出すままに今までのことを思いだし、最後でまた自分に呆れて落ち込んでいると、ママの叱責が飛ぶ
「こら!私が許したんだから落ちるのはもうおやめなさい」
「うう…でもずっとママにも迷惑かけてたなって、なのにまた…」
「ふん!雰囲気にすぐ流されるあんたがハワイなんかいったらこうなることは想定内!
これからまた頑張ればいいの、私にまかせなさい」
「はいお願いします」
「そ、素直でよろしい」
落ち込んでたのを怒ってくれて、最後には前を向かせてくれるママに、ホントに頭が上がらない
瞼に濡れコットンを乗せられるとき、目を閉じながら彼に感謝を述べる
「ありがとう、ママ」