偽恋
「じゃー下で待ってんな!華辻もあんま無理すんなよ!お疲れ!」

そういうとエレベーターに向かって歩いて行った。

迎えに来たのに先行くんだな笑

そう思っていた時

鞄を持った真田さんが私の隣にいた。

「あ、ごめんね。邪魔して・・。」

あんな泣いてたとこ見たら目合わせづらい。

まぁ見てた私が悪いんやけど・・

申し訳なさそうな顔をしている私とは対照に彼をいつも通りの笑顔だった。

「あ、いやいや。俺こそ仕事の邪魔してすみませんでした!電話なんて家でしろって話ですよね!」

気をつかってくれてる。
優しい人だな。そりゃモテるよね。

でも、その誰にでも対する優しさでじぶんがしんどくなってるんじゃないのかな。

誰にも相談できないから泣いてたんじゃないんかな。

一回も話したことがない彼にそんなイメージを持ってしまった。

失礼だとおもう。
けど・・

「詳しいこととかよく分かんないけど、話ぐらいなら聞くからさ。いつでも言って?」
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