カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん
 ◇◇◇

 ☆礼音side☆


「新(あらた)、今からお前の家に行ってもいい?」


「別にいいけど。
 勉強教えろとかはマジ勘弁な」


「そんなんじゃないけど……」


「けどってなんだよ礼音。ま、家で待ってるから。」


 自転車で新の家に急いだ。



「で、なんだ。
 ゲームやりに来たって感じではねえよな?」


 新の部屋に来たとたん
 俺の態度で何かを感じ取ったんだろう。


 さすが幼稚園からの幼なじみ。

 そして友達で唯一、
 本当の自分として話せる相手。


「新に……ちょっと……
 相談があってさ……」


「どうせ、八夜琴梨のことだろ?」


「は? なんで?
 俺、新にはまだ何も……」


「そりゃ
 昼休みのお前見ていたら
 わかるに決まってんだろ。

 八夜さんに会いに来た1年を睨むわ
 そのあと教室から逃げ出すわ」


「…逃げてなんてない」


「どうせ礼音のことだから
 王子キャラ保っていられなくなったてとこだな」



 ……うっ、図星だ。



「もしかしてクラスの奴らにも
 俺が琴梨を好きだって気づかれてる?」


「好きになったのか?
 八夜さんのこと。」


「え? は?
 お前さ、俺を見てたらわかるって言ってたよな?」


「八夜さんのことが
 ちょっと気になる程度かと思ってた。
 さすがに好きになっているとは
 思わなかったわ~」


 新は気づいているのかと思って
 勝手に暴露しちゃったじゃないか。


 すっげーはずかしい……

 顔が熱い。


 新の部屋にあったアルパカクッションを
 思いっきり顔に押し付ける。


「礼音が俺に好きな奴の話をするとか
 今までなかったもんな」


「今まで好きだって思える奴と
 出会ったことなかったし」


「それで八夜さんと何があった?」


 俺は図書館で琴梨と会ったことを話した。


 さっき図書室の資料棚の前で
 告ってしまったことも……



「礼音」

「ん?」

「俺さ、なんか安心した」

「なに?」

「俺以外で
 お前が本性見せれる相手ができたこと。

 お前さ
 カメレオンみたいにいろんなキャラになるの
 もう限界だっただろ?」



 本当に新は俺のこと
 何でもお見通しなんだよな。

 それなのに俺に呆れることもなく
 ずっと友達でいてくれて。
 

 新がいてくれて良かったって本気で思う。


 本人には恥ずかしすぎて言えないけど。



「で、これからどうするんだ?」


「実は明日の放課後
 琴梨と公園で待ち合わせをしたんだけど」


「礼音、お前、なかなか行動派だな」


「だって学校じゃ
 みんながいて話しかけられないし……

 あの1年のアルパカ野郎と琴梨が
 二人で帰ったりするし……」


「アルパカ?」
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