カメレオン王子と一人ぼっちの小鳥ちゃん
◇◇◇
『本当に琴梨は
来てくれるかな……』
学校が終わり、
俺は1番に教室を飛び出して、
琴梨との待ち合わせの公園に来た。
同じ教室にいながら、
挨拶さえできないもどかしさが募っていて、
早く琴梨に会って、話したくてしかたがない。
でもそれと同時に、
琴梨が俺のことをどう思っているのか、
知るのが怖い自分もいた。
もしかしたら……
『礼音くんのことは嫌い』と告げて
帰って行っちゃったらどうしよう……
そんなこと言われたら、
俺、立ち直るのに、
時間がかかりそうなんですけど……
悪い方に悪い方に考えてしまう。
琴梨に会いたいのに……
会うのが怖い……
「礼音くん……おまたせ……」
優しい風のような心地よい声に振り返ると、
そこには琴梨が立っていた。
うつむきながら、
親指の爪をこすっているが、
分厚いレンズのメガネと長い前髪で、
どんな表情なのかわからない。
「あの……礼音くん……
昨日の……ことなんだけど……」
は?
もしや、俺の告白の返事??
付き合えないって言われたら、
もう琴梨との関係も、
今この瞬間で終わっちゃうじゃん。
さすがにそれは嫌だ。
せめて今だけは、琴梨と一緒にいたい。
「それよりさ、時間がないから行くぞ。」
「え?あ……はい。」
「噂になるのも面倒だから、現地集合な。」
俺は琴梨の返事を聞くのが怖くて、
無理矢理話を変えた。