大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「それで?なにか切羽詰まった事でもあるの?」

「切羽詰まった事?」


 一体なんの事だろうか、と目を瞬かせる。特に切羽詰まったような案件も予定もなかったはずだが。


「悠真と付き合う直前、美咲が追い詰められていたのよ。円城家に縁談でも持ち上がっているのかと思って。もう大学も卒業したのだし……」

「追い詰められていた?!」


 聞き捨てならない事を聞いて声を上げた。自分でもやや大きい声だと思い、口元を抑える。そして、トーンを落として莉佳子に詰め寄った。


「それ一体どういう事?」

「あら、美咲は何も言っていないのね。大丈夫よ。悠真なら美咲とずっと仲良いし、両親に気に入られるだろうし、伊ヶ崎の名前を背負っているから、もしどこぞの御曹司との縁談が上がっていても問題ないわよ」


 美咲に縁談が上がっているとかいう、とんでもない勘違いされているが、まだ結婚している事については公表していないので、取り敢えずそのままにしておく。美咲の両親からはずっと気に入られているし、そちらに関しては杞憂でしかない。それよりも、だ。


「美咲からは何も聞いていないのか……?」

「ええ。でも何かあったわよあれは」
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