大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「おい。莉佳子、どーゆー事だよこれは?」
知っている人物の声。随分と久しぶりに聞く。
だが、俺の存在なんて眼中にないようで、記憶にある声よりも幾分か低い声で莉佳子に疑問をぶつけていた。
「涼」
そう呼びかけると涼は初めて俺の存在を視界に入れた。かなり前に会ったきりの友人は、俺を見るなり目を見開く。
「悠真」
少しだけ不健康そうな顔色。よく見れば、目の下にうっすらと隈が認められる。医学部五年生になって、ずっと続いている実習が辛く、心身共にゴリゴリと削られると言っていた。忙しいくせして、美咲とは会ってるから俺は彼らの仲を疑っているんだ。
「何を勢い込んでいるんだ?俺達はただ話をしていただけだよ」
そう言った後、息を切らせてまたもや見知った声が続く。
「涼、いた……!いきなり走り出すから慌てた!」
彼女は薄茶色の長い髪の毛をやや乱して、早歩きでこちらに駆け寄ってきた。コツコツとパンプスの音を響かせる。頬は紅潮していた。
そして俺と莉佳子の姿を見るなり、動揺したように硬直した。
「え……、悠真と莉佳子?……涼、どういう事……?」
俺はそのまま席を立ち、彼女――美咲の腰に手を回す。グッと俺の方へと引き寄せて、親密さをアピールしながらニッコリと微笑んだ。
知っている人物の声。随分と久しぶりに聞く。
だが、俺の存在なんて眼中にないようで、記憶にある声よりも幾分か低い声で莉佳子に疑問をぶつけていた。
「涼」
そう呼びかけると涼は初めて俺の存在を視界に入れた。かなり前に会ったきりの友人は、俺を見るなり目を見開く。
「悠真」
少しだけ不健康そうな顔色。よく見れば、目の下にうっすらと隈が認められる。医学部五年生になって、ずっと続いている実習が辛く、心身共にゴリゴリと削られると言っていた。忙しいくせして、美咲とは会ってるから俺は彼らの仲を疑っているんだ。
「何を勢い込んでいるんだ?俺達はただ話をしていただけだよ」
そう言った後、息を切らせてまたもや見知った声が続く。
「涼、いた……!いきなり走り出すから慌てた!」
彼女は薄茶色の長い髪の毛をやや乱して、早歩きでこちらに駆け寄ってきた。コツコツとパンプスの音を響かせる。頬は紅潮していた。
そして俺と莉佳子の姿を見るなり、動揺したように硬直した。
「え……、悠真と莉佳子?……涼、どういう事……?」
俺はそのまま席を立ち、彼女――美咲の腰に手を回す。グッと俺の方へと引き寄せて、親密さをアピールしながらニッコリと微笑んだ。