大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「でも、涼が美咲の事を友達としてしか思っていなかった場合、なんで美咲と頻繁に会っているかっていう理由を考えてみたんだ。そうすると違和感が幾つか出てくる。俺達が結ばれた一番最初の夜、美咲が突然誘惑してきたのはどうして?

 ――美咲、何があったの?」

 答えろ、という強制力に満ちた声音。間違いなく悠真はトップに立つような人間だと思う。
 だけれど、その表情には心配そうな色が滲んでいた。

 あまり自分を偽るのは得意ではない。だから、涼に言った通り、正直に言うことにする。


「……涼から、アドバイスされたの。お酒を言い訳にして、一夜を共にすれば男は嫌でも意識するからって」

「……涼にアドバイス?」

「うん。この結婚は政略結婚だったでしょう?」

「それはまあ……」


 ちょっと歯切れの悪い雰囲気で悠真は頷いた。


「私達は政略結婚をやめようとした。だから、離婚を目指してた」

「そうだね」

「でも――、私は悠真の事、好きになってしまった」


 悠真は黙って私の話を聞いている。私はそのまま続けた。


「悠真をこの政略結婚から解放したいと思いながら、それでも悠真の思いも断ち切れなくて、板挟み状態の所に涼にアドバイスをもらったの。半信半疑だった。まさか成功するとは思ってなかった」

「そっか……。あれは、そういう事だったのか……」
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