大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「もしかして、俺が美咲を抱いたから美咲の事好きになったと思ってる?」

「え……、そうじゃないの?」

「違うよ。確かに俺は単純なタイプだけど」


 スっと立ち上がって私の隣までくる。悠真は骨張った大きな手のひらで、私の頬をそっと包み込んだ。


「寝たから好きになった訳じゃない。ずっとずっと前から好きだった。……高校生の時から」


 悠真の顔が近付く。おでこにリップ音と共に、彼の唇が触れた。いきなり縮まった距離と、悠真の話が信じられなくて、動揺しながら思わず聞き返す。


「こう……こう?」

「そうだよ」


 全然気付かなかった、と私は唖然とするしかなかった。それって下手すると私と同じ位の頃から好きだったという事になる。

 つまり、もう何年も前から両片思い状態だったという事?


「政略結婚から逃がしてあげる、って言った俺が政略結婚相手だなんて思わなかった。皮肉だよな。助けてやりたいと思った相手が、自分に囚われてるんだから。だから、ずっと美咲を政略結婚から解放してあげなきゃいけないと考えていた。

 ――大事だから、幸せにしたかったんだ」
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