大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
 自分で言うのもなんだけれど、容姿は普通の方だと思う。特段良くもなく、悪くもなく。麗奈みたいな涼やかな美人に憧れているのだけれど、どうやっても似合わない。


「それなりに努力、してるんだけどなあ……」


「すごく可愛いと思う」と言われ、今日は内心舞い上がった。きっとそう言った相手にとっては、些細な事だったかもしれないけど。

 その証拠に手を出された事なんて一回もない。

 思ったより長い時間お風呂に入っていたらしい。気になっていたテレビ番組が始まる時間になって、慌てて髪にヘアオイルを塗った。脱衣場を出て、ドライヤーを持ってリビングへと向かう。

 タワーマンションの最上階の一室は、かなり広い。

 私と悠真しか住んでいないけど、部屋の数が多くて余ってるくらい。二人共働いているので、毎日伊ヶ崎の本家から家政婦さんがお掃除をしに来てくれる。

 円城の実家も家政婦さんはいつもいたので、あんまり私は抵抗がない。

 埃一つ落ちていない廊下を歩き、リビングに入る。私の夫という地位にいる人は、ラフな部屋着に着替えてソファでタブレットPCを触っていた。

 私の気配に気付いて、彼は顔を上げる。お風呂上がりの私の姿を見るなり、緩い笑みを浮かべた。
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