大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
「すごい美味しそう」


 ハムとチーズ、レタスにトマト、玉ねぎのスライスが入ったサンドイッチは、お洒落なカフェで出てきそうな見た目をしている。


「あるもの挟んだだけだけどね」


 ダイニングテーブルに座った私の髪に、悠真は予告無く触れた。


「髪の毛、乾かしたんだ」

「え?うん」


 そのまま私の髪を指先で梳きながら、悠真は目を細めた。


「美咲の髪、サラサラで好きなんだよね」

「え、そうなの?」

「そうそう。いつまでも触っていたいくらい」


 そう言うなり、悠真の指が私の髪の毛を撫で回す。髪の毛だけならまだいいけれど、時折耳や項に指が当たって、落ち着かない気分になった。


「それじゃあ、次は俺が入ってくるね」

「あ、う、うん……」


 悠真は着替えを片手に脱衣場に入っていく。その後ろ姿を見つめて、私はガックリと肩を落とした。

 ……完全に聞くタイミングを失ってしまったわ。
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