大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
 幼い容姿にそぐわない、どこか少女から大人に変わりつつある憂いを帯びた表情で、あっさり言った。

 まるで当たり前であるかのように。

 その雰囲気にどうしても目が離せなくて、上ずった声が出た。


「せ、政略結婚……」


 あらかじめ知ってはいたが、第三者の口から言われるのと、彼女の口から言われるのとでは全く違った。未だに実感を伴っていなかった政略結婚という話が、やけに現実味を帯びてくる。

 そんな彼女は衝撃を受けている俺を不思議そうに見ていた。


「驚く事かな?普通の事だと思うけど」

「……今時、政略結婚なんてやってるんだね」


 うん、と共感するような響きで彼女は頷く。


「確かに古いよね。私もそうは思うんだけど、私の家代々政略結婚だし……」


 随分と平気そうに話しているが、彼女自身の決定権は、選択権はどこにあるのだろう?


「……嫌じゃないの?」

「嫌?うーん、考えた事もなかったなあ……」
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