大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
 円城家は資産家だ。娘の私ですら、働かなくても良いくらい。本来ならば就職は出来ないんだろうなあと思っていたんだけど、悠真がしたいならいいよと、双方の両親を説得してくれたのだ。きっと一筋縄ではいかなかっただろう。就職したら益々子供が作りにくくなってしまう。早い結婚の意味が無い。

 でも率先して私の願いを叶えてくれた。
 そして彼のアメリカで優秀な成績を修め、将来へ向かって努力しているその姿に尊敬していた。
 そんな人を好きになっていくのは自然だったのだろう。なんせ、恋すらまともにしてこなかった箱入り娘でもあったのだし。




「……好き」


 ポロッと口から出た言葉。言った途端に恥ずかしくなって、悠真の頬から手を離した。けれど、その手を掴まれる。


「もっと言って?」


 ダークブラウンの瞳がいつの間にか私を捉えていた。


「いつの間に起きて……?!」

「流石にあんなにペタペタ触られたら起きるよ」

「ごめんなさい……」


 いーや、といつもよりのんびりとした声で彼は微笑んだ。目元がクシャリと皺を作って優しい雰囲気になる。


「俺は嬉しかったよ」


 額にキスをされて、抱き込まれる。直に伝わってくる人肌の温度は心地良かった。
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