殺人鬼と女子高生1
「ん…?」

足元の消しゴムに気づいたようで、手を伸ばしてそれを拾った。

「あっ…あ、ごめんなさい!それ私のです」
「あぁ、そっか、はい」

案外優しく柔らかい声にドキッとした

「あ…ありがとうございます…!」
「いえいえ、勉強ですか?」
「そうです!テストが近くって…」

私は、ぎこちなく笑ってみせた

「大変ですね、頑張ってくださいね」
男性も、ニコッと笑って返した。

ここで会話を終わらせたくないと思った私は
無理に会話を繋げた。

「あ、あの、その本…良いですよね!」

男性は、手に持ってる本を見て、少し恥ずかしそうに笑った
「この本、結構マニアックだから、知ってるとは思わなかったよ。好きなんですか?」
「はい!私その人の書く小説大好きで…」

嘘だ。

実は、本は得意ではなかったが、いつも読んでいたので読んだのだ。
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