誰かのためにこの恋をしたわけじゃない
じゃあ、この恋は、何のためにあったの。
ふとそう考えて、私は立ち止まる。
北風が吹いたら私たちは手を繋ぐのかとか二人で見た花の名前は何かとかきっと他にも知らないことばかり。
二人で答えを知ることはない。
でも、私は将来誰かを愛するために、この恋をした訳じゃない。
遠ざかる彼の背中を見つめながら、この恋の意味を必死に探して辺りを見渡す。
あの芝生に寝転んで、どの雲が一番ソフトクリームに似てるか競った。
あのブランコに座って、二人の学生時代の思い出を語り合った。
あのベンチに座って、彼はカラスの鳴き声には種類があるんだって教えてくれた。
春の暖かい日に、手を繋いだ。
梅雨の日に、彼の部屋の玄関でキスをした。
汗ばむ季節に、お互いの鼓動を初めて知って朝を迎えた。
ずっと、二人にしか分からない言葉で笑い合った。
この小路を歩きながら、彼は「好きになってくれてありがとう」と笑ってくれた。
脈絡なく、思い出が溢れてくる。
好きと言わなければ、何も何も知らなかった。
それ自体に何も意味がなくたって、それを知っているのが今の私。
将来会う誰かのためではなくて、今の私が私であるためにこの恋をした。
今思い出せなくてもきっと何かのきっかけで思い出す。
違う時間、違う場所で。
同じ思い出を。
ふとそう考えて、私は立ち止まる。
北風が吹いたら私たちは手を繋ぐのかとか二人で見た花の名前は何かとかきっと他にも知らないことばかり。
二人で答えを知ることはない。
でも、私は将来誰かを愛するために、この恋をした訳じゃない。
遠ざかる彼の背中を見つめながら、この恋の意味を必死に探して辺りを見渡す。
あの芝生に寝転んで、どの雲が一番ソフトクリームに似てるか競った。
あのブランコに座って、二人の学生時代の思い出を語り合った。
あのベンチに座って、彼はカラスの鳴き声には種類があるんだって教えてくれた。
春の暖かい日に、手を繋いだ。
梅雨の日に、彼の部屋の玄関でキスをした。
汗ばむ季節に、お互いの鼓動を初めて知って朝を迎えた。
ずっと、二人にしか分からない言葉で笑い合った。
この小路を歩きながら、彼は「好きになってくれてありがとう」と笑ってくれた。
脈絡なく、思い出が溢れてくる。
好きと言わなければ、何も何も知らなかった。
それ自体に何も意味がなくたって、それを知っているのが今の私。
将来会う誰かのためではなくて、今の私が私であるためにこの恋をした。
今思い出せなくてもきっと何かのきっかけで思い出す。
違う時間、違う場所で。
同じ思い出を。