お願いだからそばにいて
ある日の帰りだった。
「よっ」
「奏!どっか行くの?」
バス乗り場に並んでいる奏を見てそう言った。
「ん、友達のお見舞い」
「へー。て、いうことは病院?」
「うん」
私は言いたいことがあったけれど口を閉ざした。
「そっか…。じゃ、じゃあねっ」
「お…おう…」
そして黙って通り過ぎようとする。
「ま、待って!」
その時、腕を掴まれた。
まるで時間が止まったような感覚だった。
「な、何?」
「LIME交換しない?」
「…うんっ」

「これでOKっと!じゃあまた学校で!」
「じゃあね」

私は嬉しかった。
私もそう言おうと思っていたからだ。
その日はわくわくしながら家に帰った。
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