お願いだからそばにいて

『彼は私に気づいていなかったけど、かっこよくなってた。奏が山梨にいるの知ってて行ったら、見つけたの。やっぱり私、彼が好きだなぁって』

桜はそう言いながら空を見上げた。
そして小声で言った。
『私…、…余命1年なの』
『…は、はぁ?』
『だから…、奏には会いたいけど…、…告白なんかしない。どうせ…1年後は生きてないんだし…』
桜は『内緒だから』と言い、帰っていった。

桜は強い。
そして優しい。
俺の大好きな人。
だから少しでも長く生きてくれればいい。






俺は本気でそう思った。
< 63 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop