エリート弁護士は独占愛を刻み込む
弟は頭が良くて医師を目指している。
地元の国立大学の医学部の六年生で今は国家試験に受かるために必死に勉強しているはず。
私が上京してから一度も電話なんてしてきたことはない。
ひょっとして両親に何かあった?
『俺、来年の国家試験の試験会場の下見に来たんだけど、葵のとこに泊めて貰おうと思ってマンションに行ったんだよね。でも、もう引っ越したって管理人さんが言っててさあ。どういうこと?』
両親が病気や交通事故とかじゃなくてよかったけど、弟の質問に顔面蒼白になった。
……マズイ。
「そ、そうなの。最近引っ越したのよ」
平静を装って答えるが、声が震えてうまく出ない。
『ふーん。じゃあさあ、葵の会社も訪ねたら退職したって言われたんだけど、これはどう説明してくれるの?俺も父さんたちもなにも聞いてないけど』
私を追及する学の声がやけに楽しそうに聞こえるのは自分が秘密を抱えているせいだろうか。
地元の国立大学の医学部の六年生で今は国家試験に受かるために必死に勉強しているはず。
私が上京してから一度も電話なんてしてきたことはない。
ひょっとして両親に何かあった?
『俺、来年の国家試験の試験会場の下見に来たんだけど、葵のとこに泊めて貰おうと思ってマンションに行ったんだよね。でも、もう引っ越したって管理人さんが言っててさあ。どういうこと?』
両親が病気や交通事故とかじゃなくてよかったけど、弟の質問に顔面蒼白になった。
……マズイ。
「そ、そうなの。最近引っ越したのよ」
平静を装って答えるが、声が震えてうまく出ない。
『ふーん。じゃあさあ、葵の会社も訪ねたら退職したって言われたんだけど、これはどう説明してくれるの?俺も父さんたちもなにも聞いてないけど』
私を追及する学の声がやけに楽しそうに聞こえるのは自分が秘密を抱えているせいだろうか。