エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「あ、あのね。転職したの。それで……慌ただしくて連絡する暇もなくて」
差し障りのないことを弟に伝えるが、学はさらに突っ込んで聞いてきた。
『転職したってどこに?』
「赤坂にある法律事務所だよ」
『法律事務所ねえ。じゃあ、今はどこに住んでる訳?』
……絶対くるかと思ったよ、その質問。
赤坂なんて言ったら変に思うに決まってる。
普通のOLが住める場所じゃないもん。
「仕事行くのに便利な場所だよ。今仕事が忙しいから切るね」
素っ気なく言って電話を切ろうとするが、弟はすぐに通話を終わらせてはくれなかった。
『待てよ。俺ホテル予約してないから葵のところ泊めて』
「絶対ダメ。うちには泊められない。もうあんたも大人なんだから自分でホテル探して……!?あっ!?」
ピシャリと断ろうとしたら、いきなり恭吾さんにスマホを奪われた。
『……もしもし、葵?』
スマホから学の声が聞こえる。
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