エリート弁護士は独占愛を刻み込む

「ちょっ……恭吾さん！返してください！弟からなんですから！」
声を潜めて睨みつけるが、彼はスマホを私に返さず、意地悪く笑って電話に出た。
「葵さんの上司で恋人の黒瀬です。今夜はうちに泊まってくれていいですよ」
恋人って……なに言ってんの！
「恭吾さん！ちょっと！」
慌ててスマホを取り返そうとするも、恭吾さんにスルリとかわされ、彼は私を見てニヤリとしながら弟との通話を続ける。
「君のお姉さんも一緒に住んでるから。よかったらこれから食事でもどう？うん、よかった。それじゃあ、タクシーで迎えに行くから。また後で」
にこやかに言って恭吾さんは電話を切ると、「はい、葵」と言って私にスマホを返した。
「どういうつもりですか！恋人なんて嘘ついて！」
彼にすぐに噛みつくと、真顔で返された。
「だったら、弟さんに会って真実を話したら？会社辞めさせられて行くところがなくて俺のところにいるって」