エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「なに?」
弟に目を向けると、学は少し楽しげに笑う。
「過去の葵の彼氏はダメ男だったけど、恭吾さんは違うと思って。そもそもどこでこんなハイスペックな人見つけたんだよ?」
「私が見つけたんじゃないよ」
恭吾さんが私を見つけたのだ。
横にいる恭吾さんをチラッと見れば、目が合って彼はクスッと笑みを零し、弟の質問に答えた。
「葵が変な男に絡まれてて俺が助けたんだ」
「へえ。葵、ボーッとしてるからなあ。でも、恭吾さんが助けてくれて良かったじゃないか」
「運命の出会いってやつね。私と学くんが今夜こうして出会ったのも運命よね」
嬉々とした顔で話に割って入る晶さんの言葉を学はすかさず否定する。
「いや、それは違う。俺男には興味ないから」
「あら、男の味を覚えたら病みつきに……んぐ!?」
反論する晶さんの口に学は肉を突っ込んだ。
「ならねえよ」
その目は冷ややか。
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