エリート弁護士は独占愛を刻み込む
私の気配に気づいた恭吾さんがニコニコ顔で話しかける。
恭吾さんって家事をやらないからズボラだと思っていたんだけど、よく気が利く。
たまにそのギャップに戸惑っちゃうんだよね。
やっぱ私、まだ彼のことわかってないのかな。
「あっ、うん。ありがとう」
返事をして恭吾さんの寝室に向かう。
この一週間で彼のクローゼットになにが入っているか全部把握済み。
なんせ私が管理しているから。
部屋着を取り出してリビングに戻り、弟に手渡す。
「学、これ、着替え」
「ああ。サンキュー。なんか葵、新妻みたいだな」
ニヤニヤ顔でそんなコメントをする弟。
新妻って……。
この場合、どう反応すればいいのだろう。
頰を赤らめる……なんて今の私には出来ない。
弟に嘘をついていてバレないかハラハラしているから。
「姉をからかわないでよ」
なるべくいつも通りに振る舞ったら、学は悪戯っぽく目を光らせた。
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