エリート弁護士は独占愛を刻み込む
8、外堀りを埋めていく?ー恭吾side
学くんをバスルームに案内してリビングに戻ると、葵がソファに横になって寝ていた。
「弟くんが来て疲れたのかな」
ほんの少し休むつもりで寝てしまったのかもしれない。
学くんをうちに呼んだのは葵を困らせるためじゃない。
もう前の会社を退職したことも、寮も出たことも知っているから彼を安心させてやりたかったし、俺も彼女の家族に会ってみたかった。
家族に会えば葵の家庭環境がわかる。
葵の顔からずり落ちそうなメガネを取ってそばにあるテーブルの上に置くと、彼女の横に静かに腰掛けた。
「あと十分経っても起きなければ、ベッドに運ぶか」
彼女の寝顔を見ながら呟く。
俺が恋人役を演じることに葵は反対して本当のことを弟に話すと思ったのだが、彼女はそうしなかった。
身内だから余計に言いづらいのかもしれない。
だが、ずっと秘密にしておくのは物事をさらにややこしくする。
< 116 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop