エリート弁護士は独占愛を刻み込む
今は頑張っているのだから、堂々としていればいいのにな。
学くんとのやり取りを見ていたが、仲の良さそうな姉と弟といった印象。
葵の家族の問題だから静観しようとも思ったが、もうすでに俺は彼女の人生に深く関わっている。
葵が家族に話せないなら、俺からそれとなく伝えた方がいいかもしれない。
そんなことを考えながらタブレットを手に取ってニュースを見ていると、お風呂から上がった学くんがリビングに戻ってきた。
ソファで寝ている葵を見て彼がフッと笑う。
「葵って昔からところ構わずよく寝るんですよ」
その声音は優しく、彼が姉を大事に思っているのがよくわかった。
「言われてみると、昨日はバーで酔い潰れて寝てたな」
昨日のバーでのことを思い出し、学くんの目を見て微笑む。
「世話の焼ける姉ですみません。あの……恋人っていうのは嘘ですよね?葵が俺とまともに目を合わせないんですよね。本当はこの茶番、いつまで付き合えばいい?って葵に言ってやろうかと思ったんですけど……」
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