エリート弁護士は独占愛を刻み込む
だが、葵の思いも理解してほしい。
「君がもし葵の立場だったら、素直に実家に戻る?」
俺の質問に学くんは数秒考えて答えた。
「いや……戻らないでしょうね。必死で足掻くかも」
「葵もね、今必死で頑張ってるんだ。それに俺もね、葵がいてくれるとすごく助かる。だから、葵に実家に帰られたら困るんだよね。もう俺の生活に欠かせない存在なんだ」
小さく笑みを浮かべながら話す俺を見て、彼は苦笑いする。
「俺……なんかプロポーズされてる気分になってきたんですけど。言う相手間違ってないですか?」
学くんに言われて気づいた。
プロポーズ……か。
確かに葵を好きって言ってるようなものか。
引かれている自覚はあったが、出会ってまだそんなに時間は経っていないから、はっきり葵を好きとは言えなかった。
でも、冷静に考えれば、家には女を呼ばない主義の俺が葵と同居して、彼女との生活を楽しんでいる。
< 119 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop