エリート弁護士は独占愛を刻み込む

またチョコの念押しかと思い「なんですか？」と顔をしかめて返事をしたら、目の前に彼の顔があってビックリした。
「やっと目の下の隈が消えたね」
彼の指摘に思わず顔の熱がカーッと上がる。
前の会社を解雇されたショックでしばらくよく眠れず、顔がひどいことになっていたのだ。
美形に言われると余計恥ずかしい。
気づいてても言わないでよ〜！
「大きなお世話です！」
フンと鼻を鳴らし、ひとりスタスタ歩き出す私。
そんな私の背中に恭吾さんのクスクス笑いが聞こえた。
ムッとして振り返れば、彼は後ろ手を振って反対側の道を歩いて行く。
その姿をじっと睨みつけた。
「あ〜、彼の手を取ったのは間違いだったかな？あんなチョコ命の人だなんて知らなかったよ」
ぼやきながら彼と出会った日のことを思い出していた。

あれは一週間前の事。
私はあの日、突然会社を首になった。