エリート弁護士は独占愛を刻み込む
俺にも兄がいるが、ドライな関係で同じ都内にいても滅多に顔を合わせない。
「それって俺に早く葵と結婚しろって言ってる?」
少しからかうような口調で言えば、学くんは急に真剣な面持ちになる。
「いえ、そんなつもりはないです。でも、葵も結構いい年なんで弟としては早く嫁に行ってほしいと思ってますよ。だから、遊びで姉と付き合ってもらいたくない」
これは警告だ。
だが、それは葵を思ってのこと。
「遊びだったらそもそも同居なんてしないよ。多分、最初に葵を見た時から引かれていたのかもしれない。マスカラが取れてパンダみたいな顔になった彼女見ても可愛いって思ったんだから」
思い出し笑いをする俺を見て彼は呆れ顔になる。
「俺……惚気を聞かされてます?変な男と付き合ってたら、群馬に連れて帰ろうと思ったけど、要らぬ心配だったな」
この姉弟の絆を羨ましく思う。
それにふたりとも両親思いだ。
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