エリート弁護士は独占愛を刻み込む
顔を近づけて葵の唇を俺の唇で塞げば、彼女の目は大きく開かれた。
構わず彼女に覆いかぶさり、キスを深めて舌を絡めると、葵は「う……ん」とくぐもった声をあげる。
恍惚となるその表情を見て満足すると、キスをやめて彼女を見つめた。
「弟とはいえ学くんももう大人だ。一緒に寝るのは許可できない」
俺にはなんの権利もないのに無茶苦茶なことを言ってると自覚していたが、彼女を弟のところへ行かせたくなかった。
「ど、どうして……キスなんか?」
ビックリして呆然と俺を見る彼女の頬に手を添える。
「葵にキスしたかったから」
そう答えたら、彼女の瞳は震えた。
それを見て自分が性急だったと瞬時に悟る。
「私をからかわないでください!」
動揺しながら俺に怒る葵に、「からかってはいないよ」と穏やかな口調で否定する。
だが、彼女は俺がからかったと思うはず。
今はそれでいい。
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