エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「きゃー!なんで?」
翌朝、葵の声で目が覚めた。
囁くような小さな声。
「床で寝てたのに、どうして恭吾さんと寝てるの〜?」
向かい合っていないので彼女の顔は見えないが、かなりパニックになっていて、まだ俺が起きたことに気づいていないようだ。
そんな葵の腰に両腕を回して胸に引き寄せると、彼女の身体は硬直した。
「きょ……恭吾さん?ひょっとして起きてます?」
まるでお化けにでも会ったかのような反応。
なんだか面白くてククッと笑いながら返事をする。
「うん、今さっき葵の声で起きた」
「な、なにが面白いんですか?」
俺が笑ったのが気に入らなかったのか、葵が俺の方を振り向いた。
「葵って前彼氏いたんだよね?その割には動揺しすぎじゃない?」
俺がそう突っ込むと彼女は暗い表情になる。
「だって、彼氏と一緒に朝までいるなんてなかったですもん。顔はそれなりにイケメンでしたけど、私の他に女がいて……ううん、彼にとっては私が浮気相手ってオチで……」
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