エリート弁護士は独占愛を刻み込む
『朝比奈さん、君のような人はうちの社員として認められない。今日付けで退職してもらう』
総務部長に言われたその言葉が、私には死刑宣告のように聞こえた。
私に向けられる他の社員の冷たい視線。
その目はどれも私を罪人として見ていて、心が押し潰されそうな程苦しかった。
私を誰も信じてくれない。
誰もーー。
いつ会社を出て行ったのかもあまりに気落ちしていて覚えていない。
まるで悪夢を見ているかのようだった。
地に足がしっかりついていないような感じがする。
でも、これは現実なのだ。
これから私……どうすればいいの?
『……でどう?三万で』
駅前のベンチに座っていたら、男性の声が耳に届いて、ゆっくりと顔を上げた。
もう深夜近いのか周囲は暗く、街灯が駅の周囲を静かに照らしていて人通りも少ない。
どのくらいベンチに座っていたのか。
二時間?それとも三時間?
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