エリート弁護士は独占愛を刻み込む
しかし、男に手を強く引かれてベンチから立たされても、今の自分は逆らう気も起きない。
このまま男にホテルに連れ込まれるのか。
そうぼんやり思っていたら、不意にダークグレーのロングコートを着た背の高い男性が現れ、ハーフコートの男の手を掴んで私から離した。
それが恭吾さんだった。
『警察を呼びますよ』
恭吾さんに睨まれ、ハーフコートの男は『いや、私は何も……』と言ってそそくさとこの場を去る。
『あの男も悪いが、君ももっと抵抗しないと。ホテルに連れ込まれるよ』
恭吾さんにそう言われても、怖いとは思わなかった。
まるで感情をなくしてしまったかのようで、なにも感じない。
『……それでよかったのに』
ポツリとそんな言葉を口にすれば、恭吾さんは片眉を上げた。
『は?』
『今日突然会社を辞めさせられて……寮も出て行かなきゃいけないし、もう……どうなってもよかった』
このまま男にホテルに連れ込まれるのか。
そうぼんやり思っていたら、不意にダークグレーのロングコートを着た背の高い男性が現れ、ハーフコートの男の手を掴んで私から離した。
それが恭吾さんだった。
『警察を呼びますよ』
恭吾さんに睨まれ、ハーフコートの男は『いや、私は何も……』と言ってそそくさとこの場を去る。
『あの男も悪いが、君ももっと抵抗しないと。ホテルに連れ込まれるよ』
恭吾さんにそう言われても、怖いとは思わなかった。
まるで感情をなくしてしまったかのようで、なにも感じない。
『……それでよかったのに』
ポツリとそんな言葉を口にすれば、恭吾さんは片眉を上げた。
『は?』
『今日突然会社を辞めさせられて……寮も出て行かなきゃいけないし、もう……どうなってもよかった』