エリート弁護士は独占愛を刻み込む
きっと晶さんが話していた子だ。
私の言葉に恭吾さんは大きく目を見開いた。
「……晶か涼太に聞いたの?」
「うん、晶さんが昨日教えてくれたの。今日……ううん、日付け変わっちゃったから昨日か、その女の子の命日だったんでしょう?」
彼にとっては触れてはいけない話題だったかもしれない。
でも、彼と一緒にいるなら、避けていてはいけないと思った。
「ああ。彼女のお墓参りをして、ご両親ともちょっと話をしてきた」
私の質問に彼は思い詰めた表情で答える。
恭吾さんの闇は深いそうだ。
でも、いつも彼はひとりで抱えて耐えてきたのだろう。
だから悪夢を見るのだ。
「辛かったね」
恭吾さんより私は身体は小さいけれど、彼を包み込むように抱きしめる。
彼の苦しみを少しでも和らげたい。
「俺は……あの子を死なせてしまった」
その声には絶望と後悔が宿っていたように思う。
お願い。そのまま闇にのまれないで。
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