エリート弁護士は独占愛を刻み込む
そして毎年そのご両親から『黒瀬先生のせいではありません』という言葉をかけられるが、俺の心は軽くならない。
俺の代わりにあの子が生きていたら……と彼女の命日が来る度に思う。
俺の罪を悔いて、亡くなった彼女とご両親に心から詫びる。
それが俺にできる唯一のこと。
朝からあの女の子のことを思い出し、朝食を食べても何の味も感じず、紅茶に入れるミルクをこぼしたりと、粗相ばかりしていた。
仕事をしていても手につかない。
いっそのこと丸一日休めば良かったのだが、年末は仕事が立て込んでいて、半日休みを取るのがやっと。
なんとかクライアントの問い合わせに対応して急ぎの仕事を済ませると、あっという間にお昼の時間になった。
いつも以上に疲労が激しい。
しっかりしろ!
自分を叱咤していたら、葵が勢いよく席から立ち上がった。
『じゃあ、私は萌音ちゃんとランチに行ってきます!』
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