エリート弁護士は独占愛を刻み込む
今考えると、それは祖母の思惑だったと思う。
俺が宗一郎さんのことを尊敬しているのを彼女は知っていたから。
『恭吾くん、君にお客さんだよ。会議室にお通ししたから』
お客さん?
アポはないはずだが、一体誰だろう。
宗一郎さんが応対するということは、政財界の大物かな。
『ありがとうございます。どなたがいらしたんですか?』
オフィスを出て廊下で宗一郎さんに尋ねたら、彼は子供のような悪戯な目をして微笑んだ。
「会えばわかるよ」
彼は俺の肩をポンと叩くと廊下を歩いて去って行く。
目の前にある会議室のドアをノックして、『失礼します』と中に入れば、奥の椅子に俺の祖母が座っていた。その両サイドには晶と涼太がいて談笑している。
『これは一体……?』
祖母に問いかけると、彼女は俺の目を見てにっこりと笑った。
『恭吾くんたちとお弁当を食べようと思ったのよ』
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